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映画メモ:『サプライズ』 You're Next (2011)

(Rotten Tomatoesより)

SYNOPSIS

両親の結婚35周年のお祝いのために、久しく使ってなかった別荘に集まったデーヴィソン一家。久しぶりの再会と、初対面の者同士親交を深め合い和やかに始まった回だが、夕食の席ではいつものように長男ドレイクと次男クリスピアンが言い合いを始めて険悪な雰囲気になってしまう。そんな中、ふと外が気になった長女の彼氏が窓に近づくが、瞬間、窓が割れてクロスボウの矢が長女の彼氏タリクの顔面に突き刺さる――……。安全なはずの場所がなくなり、パニックに陥る家族、予想もできない展開が襲いかかるホームインベージョン・ホラー。

MOVIE INFO

邦題: サプライズ
原題: You're Next
公開日: 2011年9月0日(トロント国際映画祭)
監督: Adam Wingard
ジャンル: ホラー、スリラー、スプラッタ

TRAILER



個人的に好きなタイプのB級ホラー。細かい気になる点がないわけではないけれど、文句があるとしたら邦題だけ。

スラッシャーフィルム?と言えばいいのか分類が適切かは不安ですが、ともかくぱっくり割れたりなどのゴア描写はそこそこあるので苦手な人は注意です。でも笑える、満足できるスプラッタ映画を求めているならちょうどいい映画だと思います。(でもスプラッタを求めて観るとしたら物足りないかもです)

プラス、ラストを見た時の「ああ~~~~~~!」を他の人にもぜひ味わってもらいたい気持ちがあります。FYI、この場合の「ああ~~」は笑顔で言うタイプの「ああ~~」です。

ともかくおもしろいので、ぜひネタバレ等を見ずに楽しんでもらいたいです。












SPOILER ALERT

REVIEW

Surprise!

KINENOTEに書いてあるあらすじの一部を引用しますが、邦題の『サプライズ』は
やがて姿を現したのは、ヒツジ、キツネ、トラなど、謎のアニマルマスクを被った集団。彼らの正体も襲撃の理由も分からないまま、なすすべなく襲われてゆくデーヴィソン一家。まさに絶体絶命のピンチに陥ったその時、アニマルマスク集団も、一家すらも予想しなかった出来事が起きる。“誤算”、“予想外”、“想定外”……。いくつもの“サプライズ”が全員の運命を大きく変え、誰もが予測しなかった結末へと突き進んで行く……。
という意味での"サプライズ"を前面に出したものだと思います。

が、この映画において原題である"You're Next"はかなり大きな意味というか役割を担ってい(ると思い)ます。だからサプライズじゃなくてそのままで良かった!

Who's Next

だんだんと血に塗れるエリンちゃん(Rotten Tomatoesより)
第一の犠牲者は、夕食の席で外から狙撃された長女の彼氏タリクでした。そしてその次に殺されてしまったのは、寝室で泣きながら落ち着こうとしていた母親のオーブリーで、彼女の死体のすぐそばには"You're Next"の大きな血文字が書かれています。その血文字は冒頭で殺された隣人の家にもありました。このYou're Nextはその文字を見たデーヴィソン家の人々にとっては「次に死ぬのはお前だ」という脅しの効果があるものですが、この映画においてはそれだけではありません。

動物マスクの殺人者たちとの生死をかけた戦いの中で、エリン(彼女が主人公だった)はサバイバルキャンプで身につけたスキルをフル活用して彼らを直接撃退したり、罠を張ったりします。その罠の一つに、玄関の扉を開けたら開けた者の顔面に紐で吊るされた斧が振り落とされるというものがるのですが、なんとようやくやってきた警察官が扉に手をかけてしまい、狙いであったはずの動物マスクでフィリックスでもジーでもなく、警察官がその罠に――……!というところで画面中に飛び散る血!ババーンと大写しにされる"You're Next"の文字!そしてエンディング!

これだ!!!これがやりたかったんだな!!!というのがよく伝わってきます。
これによって「次はお前だ」というだけの(こういう以上殺人鬼っぽいのがでてくるものではありがち?なただの)言葉に、それだけではない意味が含まれることになります。マスクとかフィリックスとかのクソどもだけじゃなくて、ただ運悪くドアを開けてしまった警察官も殺されるかもしれないし、殺す側になるのはあなたかもしれない。

映画が進むにつれて見えてくるそれぞれのキャラクター、だれが主人公かが徐々にわかるとともに示されるエリンの能力、犯人。

鈍器などを持って犯人に反撃し、しかもそれがかなり効果的なので、観ていてそこそこ爽快・痛快です。主人公が誰か、一体何が起こっているのか、犯人は誰か。これらがだんだんと明かされると共に、この映画が(良い意味で)笑えるB級映画であることがわかってきます。笑いはコメディというかブラックジョークっぽいかな?映像は一見真面目に見えるんですけど。

血まみれで斧を構えて犯人を返り討ちにしようとしたり、戸惑いゼロで二階から窓を破ってダイブするような主人公、こういうのが好きな人はほんとに楽しめる、「やってくれたな!」とくすっと笑える映画だと思います。

あと長男のドレイクが最初はすっっっごくうざい(特に映画監督のタリクをdisったりクリスピアンに超小声で悪口をいうところ)んですが、彼はタリクが殺されたすぐあとに背中に矢を受けて苦しむんですよね。だんだんとほかのやつらがものすごいクソだということがわかるにつれて彼がだいぶましに思えてくるのもちょっとおもしろかったです。と言ってもこの兄弟全員かなりだめだめだし、だからこそ殺されるときにすっきりするんですが。

まとめ:エリンちゃんが良い。強い。楽しめました。音楽も良かった。


英語(日本語)むずい


内容についてのすごくわかりやすいまとめ:
ツイッターに書いていたらなんかこれ長くなるぞ……って思ったので途中からこちらで書くことにした「英訳難しいな~~~」を長くしただけの文章です。

前提

発端はこちらの記事("すべてのゲームには難易度オプションを実装するべきだ"-Damage)のツイートをTLで見かけたことからでした。

ぱっと読んでゲームの難易度選択とゲームの未クリア率について自分に関することのみを呟いたのですが、ちゃんと読み返してこの記事がもっと違った内容だということに気づき、元の記事を読みました。自分が何かを理解するときには自分で一からやらないとうまいことできないので、元記事を読んで整理したものの一部がこちら。※上の2つは元記事をざっくりまとめようとしたもので、私の言葉ではないです。




アクセスしやすい

元記事に"Call of Duty is more accessible by virtue of it’s difficulty menu"という部分があるのですが、上のツイートではうまい言葉が見つからずCODのことを「アクセスしやすい」としました。accessibleのあたりが(比喩的に)「離れたところにいる人も近づきやすい」というような意味で「アクセスしやすい」を持ってきたのですが、カタカナ(日本語で)の「アクセス」は主に交通の便について話すとき(もしくはパソコンとか情報処理関係)に使う言葉だからこれは違うよなあ……と思います。

じゃあどんな日本語なら合うのでしょうか。
accessibleという語は、自分は上でも書いたように「あるものや場所に近づきやすい(到達も含む)」で、それは物理的な距離だけでなく人や物事についての距離、仲良くなるとか理解するというような意味も含まれる、だと認識しています。

図にすると「離れたことろ→近いところ」 というようなかんじの理解です。なので、この文章の場合だと普段ゲームから離れている人、あまりゲームをしないような人(文脈で言うといわゆる"casual"なゲーマー含む)も、CODはよりとっつきやすい、多くの人が始めやすいゲームだというような日本語のほうがまだ「アクセスしやすい」よりは意味が合っている気がします。

それでも英文を読んだ時に脳内でこうだと思った内容と、上で書いた日本語が同じ意味になっているかはまだちょっとひっかかります。

「本当に翻訳向いてないな~」と「翻訳家の人すげ~」が混ざったような気持ちです。そういえば英語を読むこと自体は嫌じゃないけど、英語の授業で英訳をするのも苦手でした。苦手じゃなくなりたい。おわり。

映画メモ:『死霊高校』 The Gallows(2015)

(Rotten Tomatoesより)

SYNOPSIS

20年前のとある小さな町の高校。「絞首台」という劇の本番で、舞台装置の誤作動が起こり生徒の一人が死んでしまうという痛ましい事件があった。20年後の同じ高校でまた「絞首台」を再演することになったが、全く乗り気でなかったライアンは、同じく単位のためだけにイヤイヤ参加したキャシディと、同じアメフト部のリースを誘って公演を中止にするためセットを壊そうと夜の学校へ忍び込む。が、携帯は圏外になり、出入り口はなぜか開かなくなり、ひとりずつ首吊りの犠牲となり……。


MOVIE INFO

邦題: 死霊高校
原題: The Gallows
公開日: 2015年6月30日(Fresno premiere)
監督: Travis Cluff, Chris Lofing
ジャンル: ホラー、ミステリー&サスペンス

TRAILER



POV方式、ファウンド・フッテージのホラー。

アメリカの高校モノを観ると毎回思うけど、なんでカースト上位の運動部の人はこんなにやることが猿っぽいんだろう。

ホラー映画は「"オタク"な映画監督が学生時代の恨みを込めてそういうやつらを撮っている」とか、「見ている側もクソなジョックが調子こいた末に無残に殺されるのを見たいと思っている」とかいうのはどっかで読んだ気がするので、そういうバイアスはかかってるかもですが。







SPOILER ALERT







REVIEW

メインの4人は以下の通り(キャスト名-役名)でほぼ本名なんですね。

  • Reese Mishler - Reese Houser
  • Pfeifer Brown - Pfeifer Ross
  • Ryan Shoos - Ryan Shoos
  • Cassidy Gifford - Cassidy Spilker
4人の演技は良かったな~と思います。上にもちらっと書いたけどカメラ役のライアンには見事にイラッとさせられました。


構成はそんなにひねりがあるわけでもなく、単調なかんじ。携帯がつながらない!は?気にすんなよ!ドアが開かない!電話がつながらない!これやばくね!?やばい!!でも撮影は続ける!(?)なので、POVで続けるなら撮ってる理由がないと気になってしまいます(ライトのことがあるにしても)。最初は準備の様子とかオタクどもをからかってやろうというライアンの撮影の理由付けは、自然だったし意味があって良かったです。また、本人たちが撮っているんだという臨場感も強く出ていてそこも良かったと思います。

ただあの執行人がどうもチープというか。変に幽霊とか出すよりは人間こえーのほうがまだましだった気もします。いいなという要素がないわけではないんですが、ホラーなのにあんまり怖くなかったのでそこが一番気になってしまいます。

最後の頑なに役名で呼び続けるファイファーからの、カーテンコール&オチはおもしろいなと思いました。でもやっぱりご都合展開だし突っ込みどころ多いしおすすめ度はあんまり高くないです。

映画メモ:『レッド・ステイト』 Red State(2011)

この二人は怖がってる顔が良かったです(IMDbより)


SPOILER ALERT


SYNOPSIS

田舎町の高校生トラヴィス(マイケル・アンガラノ)と友人2人は、出会い系サイトを通じて知り合った女性に会いに出かける。ところが、約束の場所に現れたのは中年の女性サラ(メリッサ・レオ)で、3人は超保守派の狂信的キリスト教団体によって監禁されてしまう。性の乱れの象徴として処刑台にかけられる彼らを巡って、教会を包囲した特殊部隊と狂信者との銃撃戦が始まる……。
 (KINENOTEより)


MOVIE INFO

邦題: レッド・ステイト
原題: Red State
公開日: 2014年9月23日(全米), 2012年10月27日(日本)
監督: Kevin Smith
ジャンル: ミステリー&サスペンス

TRAILER



REVIEW

ホラー映画だと聞いて観たけど勘違いだったようでした。序盤の展開はホラー映画だったけれど、内容は社会派というか風刺のようなもの。タイトルでわかるだろって話ですね。あえてホラーという言葉を使って言うならサイコホラーとか宗教ホラー?でもホラーではないと思います。序盤の展開だけホラーっぽい作りですが、観進めてすぐにそうではないと気づきます。

頭のおかしい集団に捕まってしまい、捕まった理由が「処刑されるため」だとわかる。そこからはいかにその頭のおかしい集団から逃げ切るかという展開になるのかと思いきや、ひとりまたひとりと主人公と思われた大学生3人は全員殺されてしまいます。うちふたりは教会を制圧しに来たATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)によってあっさり撃ち殺されてしまいます。

同性愛者に対する行き過ぎたヘイトを神の教義であると信じるクーパー牧師(Michael Parks)の教会と、その教会にあると思われる銃火器の取り締まりにやってきたATFという対立の構図。行き過ぎて間違った共和党支持者(協会側)への批判も、都合の悪いことを隠蔽して皆殺しにしようとする体制(ATF)側への批判もたっぷりです。批判というか暴言というかってくらい、こういう人たちのことが嫌いなんかな~って感じました。

最後はキーナン捜査官(John Goodman)の審問会。上司と思われる捜査官二人は、教会のやったことはテロリズム、彼らはテロリストだ、だから”愛国者法”が適用されると言います。裁判無しで永遠に監視ができると。クソめんどくさいしあいつらはクソだから("cos fuck people like this")最初は全員殺せって命令を出したけれど、捕らえたなら話は別です。捜査官は神は人を救うけれど、ムショで他のやつからケツを掘られることからは救ってくれないと笑います。

最後のラッパについて:あの音は、エコで堆肥を作っていた大学生(eco-kids)が、臭い臭いと文句を言うだけでなく車を燃やしたりなどの嫌がらせをしてきた協会側に"クリエイティブなやり方で"した仕返しでした。しかもその堆肥農場は、大麻栽培の隠れ蓑でした。というオチ。

映像はすごくかっこよかったんですが、それで描き出されるのが顔面に縦断を受けた瞬間だったり製作者の「こいつらこういうふうできらい」みたいなdisの感じられる様々な人・思想だったりで、うーん……なんかなあ。最後の審問会でのキーナン捜査官の犬の話らへんとか、最後の一言これやりたかったんだろうな、こういう描写をしたかったんだなというのはわかるのですが、饒舌すぎたんじゃないかって気もします。トレイラーにもあったようなコメディっぽいところは、好きな人は好きかもしれません。

良かった点: Michael Parksの演技、銃がいっぱい

でもパーカー牧師もお前これまでこんなことやっといてそんなこと言うの!?って思ったところがあったので、ちょっと残念でした。

映画メモ:『クリープ』 Creep(2014)

この顔(IMDbより)

SYNOPSIS

「一日1,000ドル」という高報酬に惹かれて、アーロン(Patrick Bice)は山の中のキャビンへと向かう。そこで会ったのは依頼主のジョセフ(Mark Duplass)。ジョセフは自分は癌で長く生きられないので、生まれてくる子供に会えないかもしれない、だから自分の姿をフィルムにして欲しいと言う。しかし、撮影でジョセフと付き合っていくうちに、アーロンはジョセフが少しおかしいこと、嘘を言っていることに気づく。アーロンは帰ろうとするが車の鍵が見つからないし、ジョセフはとにかくアーロンをそこに留まらせようとする。仕方なく酒に付き合うアーロンだが、酔って寝てしまったジョセフの携帯に出ると相手はジョセフの妹で、「とにかく早くそこから逃げろ」と忠告するのだった。


MOVIE INFO

邦題: クリープ
原題: Creep
公開日: 2014年3月8日(SXSW)
監督: Patrick Brice
ジャンル: ホラー、ドラマ


REVIEW

OVERVIEW

映像作家の主人公アーロンが撮影した映像で進んでいくPOV映画です。主人公のアーロン役のPatrick Briceは監督本人。製作は『パラノーマル・アクティビティ』や『パージ』のJason Blumです。

TRAILER







ネタバレしないように書くのむずかしい 以下ネタバレ含みます





























ジョセフがめっちゃ気持ち悪い!(褒めてる)
個人的な感想ですがアーロン役の人もキュートな見た目をしているので、ハートの岩場にハートで囲んだイニシャル書き始めた時点でこれはってなるんですけど、とにかく気持ち悪さがずっと伝わってきたのが良かったです。ケツが危ない。怖いって言うより気持ち悪い?こんな気持ち悪くて怖い人が普段近くにいそうっていうのが怖いってかんじの怖さです。

POVホラーは今まであまり観たことがなかったのでこのスタイルおもしろいな~と思いました。キャストはたった二人の低予算ホラーですが、すっごいキモいけどこういう変質者いそうだなってのが、この見せ方で余計に強められてた気がします。

さいごのビデオがずらっと並んだ棚の、大量のVHSと数年前から変わったらしいDVDと、「アーロン♡」も気持ち悪くて良かったです。78分でさくっと見れて楽しめます。腐女子におすすめです。

映画メモ: 『肉』 We Are What We Are (2013)

JULIA GARNER KAWAII(Rotten Tomatoesより)

SYNOPSIS

この家族には、秘密がある。
ニューヨーク州の小さな町で暮らすパーカー一家は、思慮深く、善良な人々として知られていた。厳格な父親・フランクの元、家族は静かに暮らしていたが、ある日、母親のエマが不慮の事故により亡くなってしまう。悲しみに暮れる中、美しい姉妹・アイリスとローズは、母親の代わりに一家を支えなくてはならなくなった。彼女たちに与えられた役割は幼い弟のロリーの面倒を見ることと、先祖代々一家に伝わる恐ろしい儀式を引き継ぐことだった……。折しも町を襲った嵐のせいで、木々はなぎ倒され、川は氾濫する。激しい雨に洗われた大地では、地元の医師・バローは奇妙な骨片を発見する。それは、パーカー家が抱えるおぞましい秘密へと続く手掛かりだった……。
 (Amazon.co.jpより)

MOVIE INFO

邦題: 肉
原題: We Are What We Are
公開日(アメリカ): 2013年9月27日
公開日(日本): 2014年5月10日
監督: Jimm Mickle
ジャンル: ドラマ、ホラー、ミステリー&サスペンス

REVIEW

OVERVIEW

日本版のポスターに描かれたレースのでっかい「肉」に惹かれて(B級か!?)って思って観たんですが、最初に想像したのとは違う雰囲気の映画でした。しっとりとした悲しみが漂う退廃的なイメージと美少女ふたり、タイトルの『肉』から想像してしまう(?)タイトルオチの一発芸てきなB級感はありません。耽美的なという形容が似合う映画でした。ラストの描き方は賛否ありそうですし、ラストだけみるならこの『肉』から感じるちょっとアレなかんじもわからんではないかも……?

家族に伝わるある”しきたり”を守らなくてはいけなくなってしまった姉妹の苦しみがよく描かれてます。ホラーで、さらにもっとゴアになっていい題材ですが、それをはっきり描くのではなくじわじわと見せています。正確には見せるというより、感じさせる程度の描写ですが。ストーリーが上手く見せられているし、しっかりと詰められた語られ方をしていると感じます。

R18+ですがグロい描写はほとんどありません。美しい姉妹の悲しい物語を楽しむならこれはあなたの求めている映画かと思います。あとJulia Garner(妹役)がかわいい!

2010年のメキシコ映画"Somos lo que hay"(監督:Jorge Michel Grau)のリメイクだそうですが内容はかなり違うらしいです。そちらは観ていないのでわかりませんが、これはこれでアメリカらしい、国にあった内容なのではないかなと思っています。

分けずに一点だけネタバレを描きますが、若い女性(少女)のヌードが含まれるので誰かと見る際はご注意を。

TRAILER















※この先ネタバレを多く含みます














SPOLERS ALERT !

良かったところ

町医者が真相に迫る際に、科学的な見地があったところ
パーカー一族がなぜカニバリズムをするようになったかの理由
「そういう部族だから」とかオカルトっぽいよくわからん理由付けでなく、敬虔なキリスト教の信徒であり、家族の伝統をしっかり守っていこうという父のスタイル(食事のシーンとか"Lamb"とか)
物語全体を取り囲む雰囲気
姉妹がかわいい


ちょっとなあってところ

途中でここどうなったの?っていうすっきりしない点が複数あるところ
邦題とポスターから想像できるものと実態がズレてるような気がするところ(でもレースで描いてるしあってるような…?とよくわからなくなる)


「カニバリズムの映画だよ!」とだけ聞いて観たら退屈しそう。ミニシアター系芸術系?っぽいスローな展開で、グログロスプラッタな描写はありません。田舎のアメリカで感じる、18世紀の重苦しい悲しみ+美人姉妹の苦悩が見どころです。
経験なクリスチャンの振る舞いをする父(でも人肉食を守らなければいけない家のしきたりであると狂信している)、作中で日記を通して明かされる伝統のはじまり、アメリカの土着の問題という感じが強いので、日本人に受けるかと言ったらそういう意味ではかなり剥離を感じそうです。そういった宗教であるとか、ご先祖に親近感が湧けばもうちょっと染み渡るような怖さがあるのかも。

なんかこういうのクリミナル・マインドで観たことあるなあと思いました。殺人鬼の方にちょっと感情移入して、警察側が証拠を見つけたりして真相に近づくとハラハラしてしまうところが。

We Are What We Are

そのままとると「私たちは”わたしたち”だ」でしょうか。ラストの姉妹の”やりかた”を観るとああそういう……ってなりますね。英語で"we are what we eat"という言葉があるようで、そちらにもかけているのかなと思います。

ガジェット通信のあげた予告編動画の、”映画『肉』予告編――あまりに不道徳で美しい禁断のホラー”というのはちょっとどうなんだ。ズレてはないけどそれで期待して観たら肩透かしを食らいそう。でも観てない人に宣伝するにはいいんだろうし他にうまい煽りも思いつかないです。